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2023年5月16日
ステージ4でも諦めない (2)
〜がん劇的寛解に学べ〜 アルカリ化食でがんを抑える!

京都大学名誉教授の和田洋巳先生の書かれた「がん劇的寛解〜アルカリ化食で癌を抑える!(角川新書, 2022.)」をご紹介します。
和田先生は、元京都大学医学部・呼吸器外科の教授で、第一線でがんの診療に当たられ、
現在は京都でクリニックを開業し、自らの信念と経験で多くのステージ4の患者さんを診ていらっしゃいます。
また自らも胃がんを経験された方でもあり、大変説得力がある本と感じましたのでご紹介させて頂きます。
参考になれば幸いです。

本の帯には、ステージ4でも余命宣告を受けても長生きできる!
「劇的寛解」とは、体の根本的な改良である。
・余命半年と診断した患者が3年後元気に現れ、15年後の今も健在。
・IV期膵臓がんからの肝転移がほぼ消失。
・再発から13年経った現在も体調良好。
彼らの共通点は「アルカリ化食」で「がんが活動しにくい体内環境」を作ることだった!とあります。

和田先生は、2007年まで京都大学病院の呼吸器外科の教授として肺癌の治療に当たってきましたが、当時から現在のがんの標準治療が抱える問題点に疑問や矛盾を感じていました。
IV期のがんは本当に治らないのか?この最大の疑問を探し求めていた和田先生は2011年に京都市内にクリニックを開業します。

その中から「標準治療では治らない」とされているIV期のがん患者さんの中から劇的寛解を遂げた患者さんが次々と現れ始めます。
クリニックの患者さんでは実際、余命数ヶ月を宣告された患者さんが3年、5年、7年、10年と長期延命を果たすケースも珍しくありません。
もちろんすべての患者さんが劇的寛解を得られるわけではありませんが、
少なくともIV期がんを宣告されたくらいで諦める必要など全くないと、今の私は考えています。

*標準がん治療への疑問
現在の標準がん治療では「IV期のがんは治らない」とされていること、そして延命を名目にした治療が死ぬまで続けられていることに疑問を呈し
「劇的寛解(標準がん治療ではおよそ考えられない寛解状態が長く続くこと)」というキーワードに、「治る」か「治らない」かの2択しかない標準がん治療をどう変えていけばいいかに言及しています。

*「がんの正体」を分子生物学の観点から迫る!
がんが「発生・浸潤・転移」するメカニズムに迫り、「がんの4大特質」について詳しく解説し、これらの知識を知ることはがん患者にとって必須であるとしています。
そして、がんは言わば「生活習慣病のなれの果て」であり、根底には「食生活の乱れ」があることを指摘しています。

*がんを作り出した土壌(身体)を改良することの重要性
がんは長年の悪い生活習慣の積み重ねによる自分自身の産物に他ならないとし、がん体質(土壌)を変えることの重要性を説いています。
その治療戦略として、この「がんの性質」を逆手に取ることが重要であり、具体的に「6つの治療戦略」を示しています。

*がんの病勢を計る治療目標値の設定
治療を受ける上で、がん体質が変わってきているかを示す治療目標値も示しています。
具体的には、尿Ph値 (アルカリ体質)、血中CRP (慢性炎症)、好中球/リンパ球比 (免疫能)、HbA1c (糖化度)、血清アルブミン値 (栄養状態)、腫瘍マーカー (がんの病勢)の6つの指標から治療目標値を設定しています。

*治療戦術
また、丸山ワクチン、高用量ビタミンC点滴、減量抗がん剤治療(通常の1/4でも十分な効果を発揮)などの治療についても言及しています。

*「アルカリ化食」が「がんをおとなしくさせる」
食事療法ががん治療のベーシックメソッドである点を踏まえ、体内環境をアルカリ性や酸性に傾ける食品や飲料について「8つの食事術」の観点から紹介・解説しています。
なかでも〈食事術6〉乳製品の摂取、とくに甘いケーキの摂取は極力控えるとあり、これは多くの乳がん患者を診ている私も痛感しています。

*アルカリ化食の実力を実証した医学論文
実際に臨床例を医学論文にして検証した実例と実際に「劇的寛解」を得た患者さんからの和田先生への感謝の手紙も掲載されています。

<インチョーより>
癌発生のメカニズムを科学的に分子生物学的に論究している点
長年第一線の西洋医学の権威が実際に診療している点
実施に臨床結果が出ている点、
現代医学と食事療法のハイブリッド化を施工している点で
この本は特筆すべき歴史的な本と評価します。

最後に和田先生の言葉で締めくくります。

がんを作り出した土壌を根本的に改良しなければ問題は解決しない。
少なくとも治らないとされている IV期癌に対しては、がんを殲滅するという実に100年以上も変わらない古い思想から一刻も早く脱却し、
がんを手なずけることで「劇的寛解」に導くという新たな治療体系を構築することが切に求められている。

がん治療医としての私の現時点での集大成とも言える本書が、IV期癌の患者やその家族らにとっての福音となることはもとより、
すべてのがん患者やその家族にとっての福音の書となることを願ってやまない。

がん闘病中の方は、必ず読まれるべき本と考えます。