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2021年4月27日
医療とコミュニケーション
医療とコミュニケーション
中学生の書いた内閣総理大臣賞を受賞した読書感想文です。

鎌田實先生の書いた「言葉で治療する」の感想文ですが 
素晴らしいと感じましたので ぜひお読み頂ければ幸いです。

「ぞっとした」コミュニケーションがこんなに怖いものだとは…
「この病院に殺されにきたようなものだ…」
本の中で紹介された患者さんの悲痛な叫びに心が押し潰されそうになる…

この中学生は、僕は首のしこりと血液検査の異常のため大きな病院を受診した際、
もし命に関わる病気なら、今後の大切な時間の使い方をどうすべきか、受診日までずっとそればかり考えていたという。
幸い一過性の症状だったが、不治の病を宣告された患者さんは、いつ爆発するかわからない時限爆弾を背負い不安な気持ちを抱えていくのだな、と初めて思いを寄せたという。

そのときに鎌田實先生の著書「言葉で治療する」に出会う。
置き所のない不安を言葉で軽減できるのかと軽い気持ちで手にとったが、耐えがたいほどの衝撃を受けたという。

この本には、医療者の言葉で心に「傷」と「不信感」を与えられ 苦しむ患者さんの声が多数紹介されている。
大切な余命を気安くコロコロと変更され宣告されたり「この病院で死んでは困る」と言われて亡くなっていったがん患者さん…
医療者側からの押し付けの望まない余命告知を受け、心のケアも受けられず亡くなっていった方…
このような非情な言葉らに、中学生は困惑する。

でも、鎌田先生は言う。
「たとえ助からなくとも 説明が丁寧なら納得し感謝できる」と。
「言葉だけでは治療できないが、言葉がいい治療へとつなげてくれるのだ」と。
そして、同時に今の医療現場は、丁寧な説明をしたくてもそれをする余裕がなくなっているとも。

患者さんが押し寄せ溢れる多忙な病院の中で、人生を左右する言葉のやりとりが休むことなく行われている…
医療現場は、まさに人生を背負う「究極のコミュニケーションの場だ」と中学生は指摘する。

鎌田先生は、医療技術が目覚ましい進歩を遂げる一方で、コミュニケーションの進歩はどうだ、と問う。
読み進めると 鎌田先生はそのときどきの場合で 「安心」「信頼」「納得」「共感」そして 支えること 聞くことがとても大事だ と例を挙げて説明してくれた。
コミュニケーションの進歩は 自分と相手の「心と心の紐」をしっかり結び 前よりお互いの関係が良い状態になれたときだと中学生は指摘する。
そして「今の僕には安心、信頼、納得、支えることは難しいが、聞くことと共感することはできそうだ」と自己分析した。

聞くことで大切なことはなんだろうか。
鎌田先生は、聞いてもらっていると思うだけで それが安心感につながると言う。
だから「聞くことには治療する力がある」
ならば「聞いています」と相手にはっきり伝わるように示すことも大事だ と中学生は指摘する。
それは相手の言葉を受け止め、共感しながら聞くと言うことだ。

中学生は自分の体験も交え「なんかだるい」「痛い」という症状は本人にしか分からない。
だから「共感」とは まず自分が経験した痛みの物差しに当てはめてみて、相手の訴える症状の量と質を「想像」することがとても大事だ と指摘する。
「共感」とは自分の不完全な小さな物差しを精一杯使って「このくらい痛いのかな、苦しいのかな」と「想像」し それをしっかり相手に伝えることなのだろうと語る。

鎌田先生は医療側と患者さん側の双方がお互いを理解しようとする努力も大切だと言う。
病院の先生が中学生の僕にも分かるように説明してくれたことを当然のように受け止めたが それを当たり前のことと終わりにせず 僕も説明した先生のことを思いやって「ありがとう」感謝の思いを伝えていただろうかと述懐している。
友人や家族との会話も同じで ただしてもらうだけではなく コミュニケーションをそこで分断せずにつなげていかねばならないと語る。想像力を使って。断ち切るとそこで終わってしまうからだ。

言葉は人を傷つけ 心を粉々に砕くこともある。反面 人を救い心を護る力もある。
医療にかかわらず 心のかよう温かい言葉を使えたのなら 僕も人を幸せにできるかもしれない と結ばれていた。

素晴らしい中学生で、このような人が医療に従事したら どれほどの多くの患者さんが救われることかと思いながら読まさせてもらいました。
医療現場でコミュニケーションの難しさに戸惑ったときに またこの感想文を読み返したいと思います。

最後まで読んで頂き、誠にありがとうございました。