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ときどき男性で「乳房のしこり」に気づかれ受診されますので、書きました。
ご参考になれば幸いです。
女性化乳房症とは、男性において乳腺組織が肥大する病態です。
乳児期および思春期に見られる男性乳房の腫大の多くは正常で生理的なものです。
しこりは、500円玉よりやや小さいサイズくらいのことが多く、痛みを伴うこともあります。
なお、肥満男性の胸の膨らみは脂肪の増加するもので乳腺組織の肥大は見られないため、
偽性女性化乳房とも呼ばれることがあり区別します。
通常、腫大は一時的なものが多く、
とくに思春期の女性化乳房は片側にできることが多く、通常は約6ヶ月〜2年以内に消失することが多いため、治療の必要はありません。
両側の乳房腫大のこともあります。
“男性乳がん”などの病気を心配されて受診される方が多いですが、
男性乳がんは全体の1%未満(500人/年)で、50歳以上の人がほとんどです。
思春期の男子が発症する可能性はほとんどないと考えられます。
女性化乳房の原因は、成長に伴うものや加齢、お薬の影響で、
男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れるために起きるのではと考えられています。
原因の特定できないものは、特発性女性化乳房と呼ばれ、とくに治療せず経過を観察します。
ただし、原因のある場合もあり、ドクターは以下のようなことを念頭において診断を下します。
慢性腎臓病の人
肝硬変の人
薬剤の内服はないか
前立腺癌の治療薬(リュープリンなど)
吐き気止め(ナウゼリン・プリンペランなど)
利尿薬(スピロノラクトン)
抗うつ薬(ベンゾ系・三環系)
ホルモン製剤
胃潰瘍薬(H2ブロッカーなど)
ラベンダーオイルの使用
甲状腺機能亢進症(頻脈、動悸、手の震え、甲状腺腫大など)
性腺機能低下症(精巣萎縮・女性化など)
精巣・睾丸腫瘍(触診・エコーなど)
ときに、ホルモンの検査をすることもあります。
FSH、LH、hCG、テストステロン、TSHなど…
<注意すべき兆候〜Red Flags!>
乳房腫瘤が硬い!皮膚への固着がある!
血性の乳頭からの分泌物がある!
腋窩リンパ節が腫大している!
精巣に腫瘤がある!
乳がんが疑われるときは、マンモグラフィー・エコー・穿刺し組織採取し病理検査を致します。
<治療は…>
大半のケースは治療せずとも自然に軽快するか、原因薬剤の中止などで特別な治療は必要ありません。
1-2年経過しても消失しない場合で、ご本人が整容的に気になさる場合は、外科的切除を行う場合もあります。
気になる方は、一度、診せて頂けると安心です(^O^)
参考文献:
MSDマニュアル(プロフェッショナル版)〜女性化乳房〜
朝日新聞. 2017年10月18日. 健康ガイド「どうしました?」