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2017年4月28日
Choosing Wisely〜医療の賢い選択〜
Choosing Wisely〜医療の賢い選択〜
最近、医療分野の“ Choosing Wisely” という言葉に触れる機会が増えてきましたのでご紹介します。

現在、医療の世界で行われている検査や治療が、
「過剰な検査、過剰な治療になっていないかどうかー医療者自らがきちんと検証していこう」というキャンペーンです。

検査や治療の必要性を的確に吟味して、価値の高い医療を提供すると共に、
低価値医療(low-value-care)への警鐘を鳴らす活動が世界的に広まってきています。

これは、2010年頃からアメリカの内科専門医のプロフェッショナル委員会である “米国内科試験委員会:American Board of Internal Medicine (ABIM)”がその必要性を提唱し始めたことがその始まりです。

医療のプロである医師の自律的な取り組みとして
「現在行われている検査や治療などが本当に必要なのか?」
「過剰な治療になっていないか?」をきちんと検証した上で、
「有限である医療サービスを真にニーズのあるものに向けていこう」という活動です。

Choosing Wisely はコスト削減を主眼とした「医療費適正化」や現代医療を全否定する「医療無用論」とは一線を画すもので、
1 エビデンスに裏付けられているか
2 すでに実施された検査や手術などの繰り返しはないか
3 患者を傷つけていないか
4 本当に必要なのか
の4点の観点から検証されます。

2016 Choosing Wisely 国際円卓会議(日本を含む17カ国が参加)で採択された10の提言は次の通りです。

1 風邪に抗菌薬治療はやめよう
2 自然に治る腰痛にMRI検査はやめよう
3 低リスク患者に術前検査はやめよう
4 進行認知症に胃ろう手術はやめよう
5 医学的適応のない尿路カテーテル留置はやめよう
6 低リスク患者に冠動脈CT検査はやめよう
7 エビデンスのない「がん検診」はやめよう
8 低リスク患者に毎年の骨密度測定はやめよう
9 高齢者に鎮静薬や抗精神病薬の長期処方はやめよう
10 自然に治る頭痛に脳MRI検査はやめよう

他にも“Choosing Wisely Japan” と医療Webメディア “メディカルノート” に具体的事例が多数公開されています。

日本では、総合診療医ドクターGで有名な徳田安春先生が中心的メンバーとしてこの活動に取り組んでおられます。

患者の利益ばかりを追求するのではなく、
「患者中心の医療を維持しながら、それを支える地域や国全体のことも考える」という発想が大切だと語っています。

日本医師会の横倉会長も徳田先生との対談で、
「過剰医療になってもいけないが、かといって不足した医療でもいけない」と語り、
「過不足のない医療」との表現をされていました。

NHO宇都宮病院院長の沼尾利郎先生は、
医療ニーズは時代や社会により変化するため、医療提供者側も常に変わり続ける必要があり、
正しいと判断した「過去の選択」が、「将来も正しい」とは限りません。
そもそも「正しさ」とは常に変化するものであり、普遍的な「正しい選択」などどこにもないのです。

A bad decision is better than no decision.
(間違った決断でも、決断しないよりはマシだ!)
との格言も引用しています。

過ぎたるは及ばざるが如し
治療を受ける前に、本当に必要な医療かどうかーーもしかしたらそうではないのではないかーー
“Choosing Wisely JAPAN”のホームページをのぞいてみるのも良いのかもしれません。

空前の健康ブーム“Bubbly”な人間ドックを提供する医療機関も多いご時勢ですが…
“アメリカの良識”“医療の良心”を感じました。

当院でも朝令暮改して、学んだことを今後の診療に生かしていきたいと思います。
皆さま、いつも私を“信頼"して受診してくださり誠にありがとうございます。