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高齢者の「腰部脊柱管狭窄症」と「こむら返り」などの加齢に伴う神経の病気についての記事がありましたので掲載いたします。
参考になれば幸いです。
回答者はメディカルクリニック柿の木坂院長(東京女子医大名誉教授)の岩田誠先生です。
経験に裏打ちされた確かな回答と感じましたのでご紹介します。
Q. 脚の裏がシビれる…
足の裏がシビれる症状にはいくつかの原因が考えられます。
これらの方々はいずれも脊柱管狭窄症でしょう。
脊柱管は背骨にある管で、足に向かって神経が通っています。
腰の部分の腰椎は5つの椎骨でできています。
歳をとると椎骨と椎骨の間にある椎間板がはみ出したり、椎骨どうしをつないでいる靭帯が厚くなったりします。
これらの原因で神経が圧迫され、しびれを感じます。
お尻から両足の裏側を通り、足先まで通っている神経を坐骨神経と呼んでいます。
これらが痛む症状を坐骨神経痛と呼んでいます。
これらの症状を起こすのが、腰部脊柱管狭窄症という病気です。
足の裏の痺れも含みます。
理論的には「管を広げればいい」と整形外科手術が実施されていますが、
手術をしても必ずしも症状がなくなるわけではありません。
私は手術に対して、手術を受けるより痛くならない工夫をして生活するよう助言しています。
例えば、歩行時には体の上下の動きに合わせて椎間板に衝撃が加わるため、痛みを感じやすく、長く歩けません。
5分歩くと痛いのなら、3分ごとに休みを取りましょう。
出かけるときに携帯型のイスを持ち歩くのもいいでしょう。
「昔と同じように軽い足取りで歩きたい」という人がいますが、それは難しいかもしれません。
高齢になれば、バランス能力が低下していますので、ゆっくり歩いた方がいいでしょう。
70歳を過ぎたら、周りの人に追い越される速さで歩くのが最も安全です。
炊事などの立ち仕事で痛むのなら、座って作業してみましょう。
両足を揃えて立つと、脊柱が後ろに反るため神経が圧迫されてしまいます。
台に片足を乗せると、脊柱の形が変わるので痺れが起きにくくなります。
また足を圧迫すると、痛みやビリビリする感覚が抑制されます。
静脈瘤の病気の予防のために使う「弾性ストッキング」で少し足を締めつけてあげても症状の軽減が期待できます。
Q. 「こむら返り」で毎日苦しんでいます…
数分で収まるのなら腰部脊柱管狭窄症が原因かもしれません。
ふくらはぎの筋肉を支配している末梢神経は坐骨神経の一部です。
仰向けに寝ていると脊柱は反り返った状態になります。そのため坐骨神経が引っ張られた状態になり、ふくらはぎの末梢神経がケイレンを起こします。
体を前かがみに丸めると、神経が緩み症状が改善します。
予防法は足を伸ばして仰向けに寝ないことです。
寝ている間、ずっと横向きでいることは難しいので、丸めた座布団など直径15cmくらいの太さのロールを膝の下に入れて寝るといいでしょう。
腰が曲がって、背骨が緩んだ状態で寝るといいでしょう。
膝が曲がって背骨が緩んだ状態で眠れます。
きっかけもなく生じたり、長時間続いたりする場合は、神経内科専門医を受診した方がいいでしょう。
<インチョーより…>
私の経験から言っても、高齢者には手術よりも「痛くならない工夫をして生活を」とのご意見に賛同です。
丁寧に病状を説明し、セルフケアのためのアドバイスも具体的です。
こういう助言をしてくれるドクターこそが「名医」であると思っています。
参考になれば幸いです。
参考文献:
毎日新聞 2017年4月2日 東京朝刊.