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2017年3月15日
医師とユーモア
医師とユーモア
先日の毎日新聞に「医師はユーモア必要」とのコラムが載っておりました(2017(H29).2.15.付医療・福祉11面)。
共感し、また大いに反省もしましたので記載します。

「医師にはユーモアが足りない」
北海道浦河町で長年診療をしている医師から聞いた言葉である。本当にその通りだと思う。

浦河町といえば、統合失調症などの精神の病を抱える人々が、当事者主体で運営する「べてるの家」が有名なところである。
(中略)
病を抱える者の方が「ユーモアと笑い」で病気の深刻さを乗り越えており、
それに比べて医師は、ユーモアに欠け、つまらない、と皮肉を交えて、その医師は語っていた。

落語にも医者の話は多いが、医療コミュニケーションについて考えさせられるこんな話がある。

時は江戸の頃。ある娘が原因不明の病にふせっていた。
父親は心配して、知り合いに聞いた「話をするだけで何でも治してしまう医者」を家に呼んでくる。
その医者は、部屋に入り、娘としばらく話をしたかと思うと、薬を出すまでもなく帰っていった。

しかし、何度か医者が訪問するうちに娘はみるみる元気になり、ついに回復したのであった。
父親はなぜ話をするだけで娘が治ったのか不思議でしようがない。

後日その医者を訪ねて聞いてみると、
「話をする間、わざと片膝を立てるんです。
そうすると、ふんどしの横から***が「ぶら〜ん」とはみ出す。
すると娘さんはクスッと笑う。笑えばしめたもの。心が開くので治っていく」
と医者は打ち明けた。「金玉医者」という落語である…

医師にユーモアがあるとどんな良いことがあるだろうか。

例えば、落語で出てきた医者のように、患者をリラックスさせる効果や患者との心理的な近さ、
すなわち親近感をます効果がある。

医療コミュニケーションの研究では、医師が患者と対話しているとき、このような親近感を増すための様々な方略を取っていることがわかっている。
これは「医療ポライトネス・ストラテジー理論」と呼ばれており、それによると医師が行う16種類の親近方略のうちの一つが
「患者の緊張を和らげ、前向きにするユーモアを交える。患者がジョークを言ったら、それに応じる」とされている。

医師は、雑談をしたり、ときには冗談を言ったりしながら、患者とより深い関係になれるよう模索しているのである。

また、ユーモアのある医師に、患者は「人間味を感じる」ということもあるのではないだろうか。

人工知能の発達によって、近い将来、医師の仕事も多くの部分が人工知能に代替されるのではないかとも言われている。
しかし、最後まで人工知能やロボットには決してできない領域が残るであろう。

それが「笑い」や「ユーモア」のような、人間のコミュニケーションの中でも、最も複雑で高度な領域ではないだろうか。

もちろんユーモアばかりで技術を伴わない「ヤブ医者」なら困ったものだが、適度なユーモアが「患者を癒す」ことがあるというのも、また経験的な事実なのである。

この記事に対する反響もいくつかありましたので紹介します。

<ユーモアのある医師増えて>(74歳・主婦)
適度なユーモアが患者を癒すことがあるのは経験的な事実とのこと。
患者は、医師の「ひとこと」に左右され、私も心ない言動に泣かされて落ち込み、体調を崩した経験があります。
一方、舌がんの後、お世話になっている今の先生はユーモアがあり、病気のことを忘れるくらいです。
「ホントにキレイな歯。ゼッタイに長生きできるよ!」などと話しかけてくれ、「舌は問題ないか」と尋ねると、
「ないない!あったら無駄話している場合じゃないもんな」といった調子です。
手術から5年が経った昨年、もう“放置”かと思い、不安感を伝えると、
「4ヶ月に1回、世間話しにきて!」と言われました。

また、パソコンを覗いて「あっ、今日は誕生日か!」と言われたり、母のことを覚えていてくださったりして、ウレシくなります。
「また、楽しい話をもってきて!」と言われると元気が出ます。こんな医師が増えて欲しいと思います。

<医師もたまには世間話を>(83歳・男性)
私もかかりつけの女医さんがあまりに生真面目で無駄なことを話さないので、
ある日思い切って「先生、たまには世間話もしてください。雑談も診療のうちです」と申し入れたことがある。

今は大方の医師がパソコン画面に目が行ったままで患者と向き合わない。
掛けている椅子を回し、患者の顔をしっかり眺め、頬や首に手を当て「食事は」「睡眠は」と聞き、更に少しくらいおしゃべりしてもいいのではないだろうか。

また、血液検査の結果で、医師の多くは「**が大変高いですね」といった調子で迫ってくる。
それも必要だが、患者は日頃から健康に留意しているのだから、他の数値がほとんど基準値内だったら、
「節制していますね!立派ですよ!」とか、たまに「ホメ言葉」があってもいいのではないだろうか。

<患者の気持ち・向き合う診療>(62歳・男性)
禁煙に成功した掲載された投稿記事を主治医に手渡しし、忙しい最中、迷惑だと思ったが記念撮影もした。
私たち患者にとってはこのようなことも“心の薬”になるのだ。
患者も医師も同じ人!
立場・相性をわきまえてストレスをためないお付き合いを心がけたい。

などとありました。

私も明日から片膝を立てて「キンタマン・ドクター」として顔晴ります!?

参考文献:
孫 大輔「医師はユーモア必要」くらしの明日(私の社会保障論)2017 (H29).2.15.付医療・福祉11面.