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2016年8月12日
寄り添うということ〜認知症(3)〜
寄り添うということ〜認知症(3)〜
今回は、認知症の方への関わり方についてです。
お互いが、傷つかず、幸せになれる接し方の工夫についてです。
参考になりますれば幸いです。

認知症は、物忘れなどの基本的な症状に伴って、不安や妄想、徘徊、介護への抵抗といった気持ちや行動の変化(行動心理症状)が見られることがある。
現れ方は様々で、介護する人を悩ませることも少なくないが、関わり方によっては、落ち着いたり改善したりする。


東京都健康長寿医療センターの臨床心理士・扇沢史子さんは
「認知症で記憶を失っても、感情は保たれる」と話す。

例えば当たり前にこなしていた家事や仕事が急にできなくなったり、親しい人とのコミュニケーションがうまくいかなかったりしてパニックに陥る。
行動心理症状は、認知症の人が不安や焦り、不自由を感じているサインだ。
「特に初めの頃は、介護する家族も認知症を受け入れがたく、元に戻そうとする。
しかし、叱られる、否定されることで本人はさらに不安になり、行動心理症状につながることもある」と扇沢さんは指摘する。
症状の予防や改善には、安心して過ごせる環境が大切だ。

ではどうすればいいのか。認知症相談センターゆりの木(東京都)の右馬埜節子代表はまず「認知症の人と、私たちが住む世界は異なる」と説明する。

「新しい記憶や知識が失われていく認知症の人に、私たちの常識や理屈を押し付けてもストレスに感じるだけ」
正しいことを説得するより、その世界に合わせ、納得を引き出すと本人は落ち着くという。

<認知症の人を不安に刺せない対応の具体例>
「ものがなくなった」「盗まれた」
→「クリーニングに出したよ」「このまえ、寄付したよ」
※本人が自主的にしたように説明するのがポイント!

食事をしたのに…「ご飯はまだ?」
→「炊飯器のスイッチを押し忘れたので、もう少し待ってねッ」

お風呂に何度も入る
→会社の会合があるから準備しよう!

お風呂をイヤがる
→会社の会合があるから準備しよう!

「家に帰る!」と出て行こうとする。
→外は嵐だから、やむまで待とう。
「後でお母さんが来るから、一緒に送るよ。

車を運転しようとする
→「警察が運転禁止の通達を出した!」と自作の紙を見せる。

<ポイント>
認知症の人の世界に合わせる。
生い立ちや職業、性格を考える。
説得より、納得!
話は短く、ひとことで。
揺るがぬ言い分には、折れるが勝ち!
忘れることを利用する。 

生い立ちや職業を考え、思いを尊重することも大切だ。
ウソをつくのを後ろめたく感じるかもしれないが、忘れるという特性を利用するのも、優しい関係を築くための一つの方法だ。

「妻の表情は、私の顔を映し出す鏡なのだと思う。
叱ったり否定ししたりせず、どうしたら妻が納得できるかを考え、工夫している」

介護する家族が悩み、一人で辛い思いを抱え込むと、共倒れにつながる。
家族会で悩みを打ち明けたり、介護のプロに頼ったりして、心や体を休ませたりすることも大事だ。


<介護する家族が悩んだときの相談先>
認知症疾患医療センター(県・政令市など)
臨床心理士などが電話・面接で応じてくれる。
医師の診断も。

地域包括支援センター(市町村)
社会福祉士や保健師らが幅広く相談に応じてくれる。

認知症の人と家族の会
全国で家族の集いを開催している。
www.alzheimer.or.jp
0120-294-456(平日10-15時)

認知症コールセンター(県・政令市)
介護経験者などが相談に応じてくれる。


参考文献:手嶋由梨 くらし〜認知症のはてな?④〜 読売新聞 7月24日付.
     右馬埜節子 「認知症の人がスッと落ち着く言葉かけ」(講談社)