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たとえ子どもといえども、病気をもつ子どもたちが、優しく大人びて見えるのは、病と出会うことで、痛みやつらさを知り、命の尊さを理解しているからだと思います。
私は小学生のときの腎臓病の体験についで、大学医学部1年を終えたときにも遭遇することになりました。
結核にかかってしまい、結局、1年間休学することになったのです。
高熱と背中の痛みとで8ヶ月間はトイレにも行けませんでした。
母が寝ている私の背中に手を当ててくれると、とても楽になるのですが、じっとその体制をとり続けなければならない母のことを思うと気の毒で、自分から「もういいよ」と言ったものです。
私は、幼い時から負けず嫌いで、なんでも1番でなくてはならないと思っていましたから、この休学はショックでした。
挫折感は大きく、人生への絶望感で悩みました。1年後の復学後も、「1年間を棒に振った」という思いを払拭できずに随分と悩みました。
しかし、今振り返るとあの1年がなければ、私という人間は作られなかったと思います。
たとえば病気になった患者が、体のどこかを痛がっていたとします。
でも、私に病気で苦しんだ体験がなければ、きっと「痛い?あっ、そうじゃあこの薬をあげましょう」という感じで、表面的な接し方しかできなかったかもしれません。
病気に苦しんだおかげで、患者の体や心の痛みがわかるようになりました。
患者の「痛い」という言葉によって、自分の苦しい体験が再現されるのです。
私が病と出会った意味はここにあったのだと確信しています。
私のこういう思いは患者にも通じ、いく度となく感謝の言葉も頂きました。
「日野原先生のように丁寧な診察を受けたことがなかった。それがとても嬉しかった」とそれが主人の最期の言葉でした。
という言葉を、亡くなった患者さんの奥さんから聞いたとき、
私は医師になったことを心から感謝しました。
彼らにとって闘病生活は苦しかったにちがいありません。
しかも、死によって夫婦は引き裂かれました。
しかし、それでも死に際してご主人は奥さんに、感謝の言葉を残してくれたことを知り、私は多少でも、彼の魂を潤す水になることができたのかと思いました。
この言葉を聞いたとき、この一人の患者に出会うために、医師になって良かったと思いました。
<インチョーから>
私は「人間万事 塞翁が馬」という故事が好きなのですが、
長い人生、良いことも悪いことも起こるものです。
永遠に続くかのように思える「つらいこと・悲しいこと」も、
長い目で見れば、自分を磨きあげてくれる砥石のようなものです。
「これでよくなる、だからよくなる、さらによくなる」と唱えるといいよ、とひとりさんは言ってます。
参考文献:
日野原重明(2005)『生きるのが楽しくなる15の習慣』講談社+α文庫.