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若者たちが、生きる意味を失ってしまいがちなのは、
人とのつながりが見えにくくなっている時代にも、原因があると思います。
昔の人たちは子供がご飯を残すと、
「せっかくお百姓さんが作ってくれたのに、バチが当たるよ」と叱ったものです。
「もったいない」とか「ありがたい」という言葉は、私たちがつながりの中で生きていることを教えてくれましたが、最近はあまり耳にしなくなってしまいました。
なんでも簡単に手に入り、ものがあふれるほど豊かにはなりましたが、
「いらなくなったら捨ててしまえばいい」と考えていると、自分を生かしている命のつながりが見えにくくなってしまいます。
とはいえ、一昔前の教育を復活させれば幸せになれるというわけでもないのが、難しいところです。
従来、日本には儒教的な教えが強く「目上の人を敬いなさい」と説かれてきました。
その教えは、地位が上の人には絶対に従えという、封建社会や軍国主義と結びついたこともあり、反発を覚える人も多いのです。
時代は変わり、私たちは現代社会にふさわしい価値観を模索しています。
私たちは、誰かが言ったことに「右へならえ!」するのはやめて、
一人一人が行動規範を持ち、お互いに協力しながら生きていくための、何らかの指針を必要としています。
そんな時代にあって、生まれる前の記憶、そしてたましいの成長という視点は、
私たちによりよく生きる知恵を教えてくれるのではないでしょうか。
たとえどんな環境に生まれ落ちたとしても、自分自身で選んだとしたら、
私たちはそう信じることをよりどころにして、人生を作っていくことができます。
私たちは、ただ運命に流されるがままの、限定された存在ではありません。
時空を超え、いくつもの人生を通して成長をとげることができるのです。
試練を通して学んでいくことそのものに意味がある―― そう受け入れるなら、
私たちは人生をもっと広い視野から見つめ直し、今この瞬間の輝きにも、もっと気づけるようになるでしょう。
そして、外側から自分を縛る道徳に頼らなくても、
自らの中に規範を持ち、調和した人生を歩めるようになるのではないでしょうか。
それは、価値観が混乱している現代にあって、大きな希望をもたらしてくれます。
ある5歳の男の子は、人生の意味を、シンプルで美しい言葉で語っています。
「ぼくは、『お母さん大好き』って言うために生まれてきたんだよ」
私たちはみんな、自ら生まれることを選んだこの世界を、心から愛しているのではないでしょうか。
愛を思い出して、人生を輝かせること。
そして、幸せに生きること。
私たちには、そんな生き方ができるはずです。
と結ばれていました。
私の大好きな文章ですので少し長くなりましたがご紹介いたしました。
共感できる人は、音叉のように共鳴していただければ大変嬉しく思います。
いつもたっくさんの方々にご来院いただき感謝申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
<参考文献>
池川明(2007)『子どもは親を選んで生まれてくる』日本教文社.