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超音波による乳がん検診でこれほど大規模なRCTの成果は世界で初めてとしている。
この結果が、Lancet(2015年11月4日オンライン版)に報告された。
初期ステージの発見に寄与
今回のRCTは,2007年から2011年にかけて全国42の研究団体により,40歳代女性7万6,196人(解析対象7万2,717人)が参加して実施。
マンモグラフィ単独検査(対照群)とマンモグラフィと超音波検査の併用(併用群)に1:1で割り付けられ,初回とその2年後に検査が行われた。
併用群では乳がん診断の感度は91.1%(95%CI 87.2〜95.0)と対照群の77.0%(同 70.3〜83.7)よりも有意に高かった(P=0.0004)。
乳がん発見数(発見率)でも併用群が184(0.50%)と対照群の117(0.32%)に比べて有意に高値だった(P=0.0003)。
ただ,特異度については,併用群が低い結果となっている。加えて、併用群では要精検率と侵襲的追加検査の施行数が多く,検診による不利益が増加している面も明らかになった。
発見がん数をステージ別に見ると,両群間でステージⅡとステージⅢ以上では差がないものの,ステージ0とステージⅠで併用群が多く,超音波検査が初期ステージの発見に寄与していることが分かった。
2017年度に累積進行がん罹患率,27年度には死亡率を報告
乳がん検診の方法としては,唯一マンモグラフィで死亡率減少のエビデンスがある。
しかし,若年女性に多いといわれる乳腺密度が高い乳房では,50歳以上の女性に比べ有効性が十分ではなかった。
今回,40歳代女性を対象に有効性が証明できたことで,マンモグラフィと超音波検査の併用が若年女性や高濃度乳房の女性に有効な検診方法となる可能性が示された。
今回報告されたのは,1次エンドポイントである乳がん診断の感度,特異度,がん発見率の結果。
2次エンドポイントの累積進行がん罹患率についてはさらにデータを集積し2017年度に公表できる見通しだという。
また,追跡調査を行い2027年度には死亡率減少効果についても報告したいとしている。
これからの検診は、早期発見の利益とともに、偽陽性(がんを疑われたが、実際にはがんでなかった)や要精査となったときの不安、侵襲的検査の追加など、不利益の面、また陽性的中率(PPV,どの位、真の癌のみを精査にしているか)が問われる時代です。
そして、対策型検診では、限りある財源の中で、費用対効果も考慮する必要があります。
当院では、このデメリットの側面も常に考慮して精査に当たりたいと思っております。
検診での不安面なども、お気軽に相談していただければと思います。
いつも、沢山の方に受診して頂きまして、誠にありがとうございます。