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2016年3月7日
ストレスについて(2)
ストレスについて(2)
〜笑顔を取り戻す「がん哲学外来」の言葉の処方箋から〜
最近読んだ「婦人公論」の中に、全国で「がん哲学外来」を開いて、
各地を行脚されている樋野興夫先生が寄稿されてまして、
とてもいい話と思いましたので載せておきます。
「病と向かうの考え方」の参考にしていただけましたら幸いです。
 
〜悩みの中には、いい悩みと悪い悩みがある〜
 
人は、どんな状況にあっても、考え方ひとつで、前向きに生きられる。
私は多くのがん患者さんに接してそれを確信しました。
 
大前提として、悩むこと自体は悪くないということを、
読者の皆さんにも知って欲しいのです。
人は悩むと忍耐力がつき、心が磨かれていきます。
大切なのは、悩んでも意味のない「悪い悩み」に振り回されないということ。
 
〜落ち込んだときに、心を軽くする4つの法則〜
 
1 他人や過去の自分と比べない
 
悪い悩みの代表格は、比較から生まれるものです。仕事、収入、学歴、容姿などを人と比べて一喜一憂する。
加えて、歳を重ねると昔の自分と今の自分を比べてしまう。
例えば「30代は子育てで充実していたのに、子供が独立して自分の存在意義がわからなくなった」と空きの巣症候群に陥る。
 
でも、考え方を変えれば、衣食住の心配なくのんびり暮らせるのは優雅なこと。
実はとても幸せな状態なのです。
なぜなら自分の本来の状態に時間を注げるから。
「自分の役割って何?」と大抵の人は思うでしょう。
 
哲学的な話をすると、私たちの人生は自身の所有物ではなく、与えられたものであり、一人ひとり役割と使命を持って生まれてきます。
家族を幸せにすること、周囲の人を楽しませること、困っている人を助けること、
あるいは社会に影響を与えるような使命を担っている場合もあるでしょう。
使命や役割は、すぐに気がつくものではありません。
 
人生の中でそれを探し、時には「これが私の役割かも」と模索しながら進むことが大事なのです。
自分には自分にしかできないお役目がある。
それを追い求めれば、人と比べることがいかに無意味かわかり、悩みもグーンと減ります。
 
2 変えられることか判別を
 
健康、老後の生活、家族のことなど、将来の心配は尽きることがありません。
けれど、そんな不確定なことばかり考えていたら、
せっかくご招待されたこの世の人生を楽しめない。
 
ものごとには、自分の力で変えられることと、変えられないことがあります。
変えられることは努力して改善すればいいけれど、変えられないことを悩み続けても仕方ない。
大切なことは、変えられるか、変えられないかを判別することです。
 
また、自分でコントロールできないことに一喜一憂してはいけません。
たとえば「パート仲間が私の悪口を言っているらしい」といった場合、
自分には、どうにもできないことだから、放っておけばいいのです。
 
じつは、私たちを煩わせることのほとんどは、放っておいても大丈夫な、どうでもいいことばかり(笑)。
本当に大事なことは少ない。何でも深刻に考える必要はないのです。
 
3 目下の任務と受け入れる
 
もちろん「放っておけない問題」もあります。皆さんの中には、親の介護をしている人も多いでしょう。
「なぜ、夫の親なのに、私が世話をしなくてはいけないのッ!」と不満を抱く人もいる。
この場合、「今は介護が私に与えられた役割」と考えてみましょう。
 
一方で、女性が介護の担い手になっている現状は日本社会の仕組みの問題であり、今後変えていかねばならないものです。
ただ、それは今すぐには変えられないため、「夫が外で稼いで、自分は介護するのが目下の任務なんだ」と受け入れた方が、気はラクになる。
誰かの犠牲になるということは、その時は辛くても心を豊かにしますから、
必ずあなたの今後の人生に活かせます。
 
哲学的にいうと、この自分を確立する「独立心」と、家族や友人などとともに「助け合う心」の両方が必要で、
一方に傾かないバランスが大切です。
 
大病をしたり、辛い出来事があったりすると、
どうしても心はうちに向かい、周りも見えなくなって、
そのことばかり考えがちになります。
 
でもそういうときこそ、なおさら外に目を向け、
自分以外の人に関心をもつことが必要です。
家族と話したり、友達と会ったり、地域活動に参加したり。
すると、四六時中気になっていたことについて考えない時間が増えます。
根本的な問題が解決するわけではないけれど、不安な時間を少なくできる。
 
また、本来人は、人によって癒されます。
人との交流や、社会の中に身を置くことで、自分の役割も見えてくるものです。
 
4 「なぜ?」を追求しない
 
問題が起きたとき、どう反応するかがじつは重要です。
がんを例にとると、告知された後は、だれもが落ち込む。
でも、その後も悲嘆にくれるか、気持ちを切り替えて前を向く方を選ぶかは、
自分で決められます。
がんという事実は同じでも、どう反応するかは、自分で選ぶことができるのです。
 
大切なのは、「Why(なぜ)」ではなく、「How(いかにして)」の考え方
「がんになったのは食生活が悪かったから?ストレスのせい?」と
「なぜ」を問うても答えは得られません。
 
人生には、不条理なことがたくさんあります。
それより、痛みをとるにはどうするか、どう治療していくか、目下の問題に対処していく方が建設的です。
 
やるだけのことはやって、あとは心の中でちょっとだけ心配しておけばいい。
人生はなるようにしかならないのですから(開き直りも大切)。
 
 
自分の周りで悩んでいる人にどう接すればいいか
 
がん患者さんの話を聞くと、病気になったとき、
女性は、「こんな状態なのに夫が冷たい」
男性は、「あれを食べろ、これをしろと、妻がおせっかいをやきすぎる」と嘆く。
 
冷たい態度もおせっかいも、相手の失望に共感することなく、自分の気持ちで接しているから。
それにより、相手を傷つけるのです。
 
人は悩みを抱えると心が敏感になり、他人のちょっとした言葉や表情に傷つく。
だからいつも以上に配慮が必要なのです。
「がんばって」は配慮がないし、「大丈夫、すぐによくなるよ」も無責任でウソっぽく聞こえます。
 
ヘタな言葉よりも、相手の心に寄り添って、話に耳を傾けることが大事。
それだけで不安を少し解消できますから。
そして、「あなたのことを思っている」「最後まで見守っているよ」と相手に伝わればいいのです。
 
そもそも人は、ただそこにいるだけで価値があるもの
たとえ寝たきりのおばあちゃんになっても、その存在自体が、孫や子どもの励みになっていたりします。
 
みなさんの年代になると、若いときにああすればよかった、こうしていたら、といろいろな後悔が頭を過ることもあるでしょう。
でも、極端なことを言うと、過去はどうでもいいのです。
いい人生か、悪い人生かは、最後の5年間で決まる。
5年という数字に確たる根拠はありませんが、私は多くの患者さんやそのご家族と接してきた経験から、そう思います。
 
では、最後の5年間に何をすべきか?
自分の役割に全力を尽くし、人々の心にプレゼントするのです。
 
たとえば、
「自分のことよりも、まず相手のことを思い遣る」
「どんな困難なときも、希望を捨てない」
「困っている人がいたら、すぐに手助けをする」
といった姿勢や行動。
 
そのことが、人の心に残り、
「あのとき、◯◯さんはくじけなかった。私も前を向いて進もう」
と勇気づけることになる。これがプレゼントです。
 
寿命は誰にもわかりません。
いま、40歳であっても、常に最後の5年間のつもりで、
 
自分の人生を人にプレゼントするように生きる
 
そうすれば、自分のことばかりだけでなく、自分以外の人にも関心がいき、
広い視野で物事を考えられ、やるべきことが見えてきます
些細なことに憂うことなく、一日一日を大切に過ごせるようになるでしょう。
 
ここで紹介したことを、心の隅に留めていただき、
どんな状況でも、自分の内から幸せや歓びや面白さを感じられる毎日を送ってください。
 
樋野興夫「自分の人生を誰かにプレゼントするつもりで生きてみませんか」
婦人公論(2016年1月26日号・創刊100周年記念号)より…さすが歴史ある素晴らしい雑誌です。
 
他にも、樋野興夫先生は「明日この世を去るとしても、今日の花に水をあげなさい」(幻冬舎)など素晴らしい多くの著作があります。
どうぞ、手にとって、樋野先生の言の葉に触れてみてください。
あなたの心の琴線に響く言葉があれば、何回も何回も音読して、心に深く沁み渡らせて下さい。
あなたの心に、明日に向かって生きる「希望の光」が差し込む言葉に、きっと出会えます。
 
いつも数多くの方にご来院頂き、感謝申し上げます。