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2015年10月15日
大腸がん検診のかしこ〜い受け方(がん検診の賢い受け方③)
大腸がん検診のかしこ〜い受け方(がん検診の賢い受け方③)
今回は、日本人で亡くなる方が最も増えている大腸がんの検診についてお話しします。
参考にしていただけましたら幸いです。


今、日本人でがん死亡率で増え続けているのは、肺がんと並んで男女ともに大腸がんです。
大腸がんによる死亡率は、男性では肺がん、胃がんに次いで第3位、女性では、なんと第1位になっています。
1980年ごろに比べ、約3倍(45,000人)の方が亡くなられています。


日本人は、大腸がんで命を落としていることが多く、WHO(世界保健機構)の統計を見ても世界中で大腸がん死亡率が上昇しているのは日本人くらいでだそうです。
一方で、アメリカは、大腸がん死亡率は、着実に低下しています。
つまり、日本は、大腸がん対策が遅れているといえます。


原因は?
国立がん研究センターの研究によると、現時点で、大腸がんになる原因として、飲酒、肥満、運動不足の3つです。
ワタシもハンセイしま〜す。
よく、肉(牛・豚などの赤身肉)を食べるとがんになるといわれますが、日本人は、大腸がんになるほど大量の肉を食べる人はそうそういないといわれています。
また、加齢と糖尿病も重要なリスク因子となっています。
カレイです
イシャは軽〜く いいハナつ! (川柳サークルサイトより)といつもお叱りを受けてしまうのですが、年をとればだれでも、可能性があるということです。
糖尿病は、すべてのがんのリスクを1.5-2倍ほど上げることが分かっており、糖尿病の予防はがん予防にもなるということですね。
がんさんもコワモテですが、実は甘いものがお好きなのですね(笑)。


早期発見と過剰診断の問題
がん検診は、がんの早期発見のメリットもあれば、精神的な不安や精密検査で辛い思いをしなければならないというデメリットもつきまといます。
過剰診断についてのデメリットは、前回の乳がんのときにお話ししましたが、甲状腺がん(とくに女性)、乳がん、前立腺がん、肺がん検診などでその疑いが報告されていますが、便潜血による大腸がん検診は、それを上回るメリットが統計学的に証明されています(大腸がん検診と子宮頸がん検診の2つです)。


見逃しを防ぐには …
せっかく受けるのでしたら、毎年繰り返し検診を受けて頂くことが貴方の身を守るために大切です。
そうして頂けましたら、約8割の大腸がんを発見することができるといわれています。
便を採取するだけという簡単な検査で、発見率8割というのはコスパに優れた方法といえるのではないでしょうか。
また、検診での発見がんは、非検診発見がんより生存率がはるかに優れているということも分かっています。
また、検診発見がんのうち、約半数弱が内視鏡で切除できていることも大きなメリットです。


便潜血検査の注意点は…

①2日間採る。これは、大腸がんは表面からいつも出血しているわけではなく、間欠的に出血しています。この見逃しをしないように2日とるほうが良いです。3日間ならさらに感度が増すことも分かっています。

②棒を突き刺すのではなく、表面をコスルように採取すること

③すぐに冷蔵庫にいれること!うんちを冷蔵庫に入れるなんで…と思ってしまいますが、室温に置いておくと3割くらい精度が落ちてしまいます。

せっかく受けるのであれば、精度の高い検診を受けた方が私は良います。
現在、内視鏡を併用した方が良いのではないかとの検証も試みられています。
こちらは結果が出るまでに、もう少し時間がかかりそうです。


便潜血検査の精度

ランダム化比較試験のメタ分析では、40歳から80歳の一般住民を対象に、毎年、もしくは1年おきの便潜血による検診を「受ける群」と「受けない群」で比較したところ、大腸がんの死亡率が、検診を受けない群を100とした場合、受ける群で84まで減りました。
つまり、大腸がんによる死亡が16%減りました。
この結果の信頼性はかなり高いといえます。
この検診で見つかるのは大腸がんだけではなく、前がん病変ともいえる大腸ポリープも発見できます。
切腹するような手術でなく、内視鏡によって取り切れてしまうものも多く、小さな処置で済ますことができるのは、患者さんにとって大きなメリットでもあります。
もちろんどんな検診も誤診や過剰診断の問題があるわけですが、研究結果ではそれを上回る効果が示されています。

当院では、苦痛の少ない技術の高い大腸内視鏡や新しい大腸3D-CTの導入も済ませていますので、検診で引っかかってしまった方や大腸の病気が心配で、一度きちんと診てもらいたいと思ってらっしゃる方は、お気軽に受付窓口までご相談ください。

いつもたくさんの方にご来院頂きましてありがとうございます。


参考文献
松田一夫「がん予防法とがん検診ー大腸がんを中心に」日本癌学会、第22回市民公開講座(2013.10)
名郷直樹「家庭医が教える病気のはなし 70」(2014.10)