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2020年4月30日
新型コロナウイルス 〜大丈夫な理由(2)〜
新型コロナウイルス 〜大丈夫な理由(2)〜

<治療薬登場!>
既存薬を使った新型コロナに対する治験が加速しています。
先日4月18日に開催された日本感染症学会のwebシンポジウムでは、
結果の判断が医師の主観によることや比較した対照群が置かれていないことなどの限界もあるものの
アビガンは重症者6割、軽中等症者では9割の改善との発表がありました。

東京品川病院では30代の男性患者に使用し、38度台の熱と呼吸苦で重症化しつつあったが投与の翌日に熱が下がり、体のだるさもなくなったといいます。
千葉県の病院でも肺炎症状の見られた50台男性が投与開始後14日後に酸素投与が要らなくなったと報告されました。
アビガンの治験は96例を集めるまで実施され終了は6月末の予定とのことです。

吸入薬オルベスコの結果も紹介され、85例の登録で死亡例はわずかに2例のみにとどまったと報告されました。

神奈川の病院では患者3人に使用し70代の女性は投与後2日ほどで解熱し、肺炎も改善。わずか8日後には退院。
他70代男性と60代女性も使用開始後に酸素投与が不要になったという。
またオルベスコは今まで喘息で幅広く使われてきた実績があり、安全に使えることの安心感が大きいとも評価されました。


エボラ出血熱の治療薬であるレムデシベルも有望視されており、一流の医学雑誌(NEJM)に、
53人に投与し約7割の36人が改善し25人が退院できたとする論文が掲載されました。


マラリアの治療薬であるプラケニル(クロロキン)も効果が期待されており、
糖尿病と透析を受けている持病のある60代男性に投与し、38°C以上の発熱があったが3日後には解熱し肺炎も改善。

今後、特例承認に向けた迅速な動きも加速しています。

<ウイルスは広まるにつれて弱毒化していく>
長崎大学熱帯医学研究所教授の山本太郎先生の話が朝日新聞(’20.3.11)に掲載されていました。

私たちは感染症を「撲滅すべき悪」という見方をしがちです。
しかし、多くの感染症を抱えている文明と、そうではない文明を比べると前者の方がずっと強靭だった。
16世紀ピサロの率いる200人足らずのスペイン人によって南米のインカ文明は滅ぼされた。
新大陸の人々は、スペイン人が持ち込んだユーラシア大陸への感染症への免疫を全く持っていなかったからです。

多くの感染症は人類の間に広がるにつれて、潜伏期間が長期化し、弱毒化する傾向があります。

病原体のウイルスや細菌にとって人間は大切な宿主。
宿主の死は自らの死を意味する。
病原体の方でも人間との共生を目指す方向に進化していくのです。

感染症については、撲滅よりも「共生・共存」を目指す方が望ましいと信じます。

一方で医師としては目の前の患者を救うことが最優先。
抗ウイルス薬などあらゆる治療手段を用いようとします。
しかし、その治療自体も薬の効かない新たな強力な病原体を生み出す可能性もある。
このジレンマの解決は容易ではありません。

新型コロナウイルスの真の致死率は明らかではありません。
1918年〜20年に流行したスペイン風邪のように強毒化していくこともあります。
しかし世界中に広がっていく中で弱毒化が進み、長期的には風邪のようなありふれた病気の一つとなっていく可能性もあります。

<防止策は弱毒化に寄与する>
感染が広がりつつある現時点で、徹底した感染防止策をとることで、病気を広がる速度を遅くすることができます。
さらには、病原体の弱毒化も期待できます。
新型コロナウイルスが、新たな宿主を見つけづらい状況では「宿主を大切にする」弱毒の病原体が有利になるからです。

そして集団内で一定以上の割合の人が免疫を獲得すれば流行は終わります。
今目指すべきことは、被害を最小限に抑えつつ、私たち人類が集団としての免疫を獲得することです。

従来の感染症では多くの犠牲者を出すことで社会に変化を促しましたが、
今回の新型コロナウイルス は被害それ自体よりも「感染が広がっている」という恐怖が政治経済や日常生活に大きな影響を与えています。
これは従来とは異なる方法で、新たな変革を促していると言えるかもしれません。

<インチョーより>
楽観的すぎると言われる方もいるかもしれません。
しかし、私の好きなアランの言葉に…
悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである
という言葉を紹介したいと思います。

当院でもスタッフ一丸となって、受診する方、お一人お一人ごとに、手洗い・消毒を徹底するなど
感染対策により一層力を入れて参ります。よろしくお願い申し上げます。