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2018年3月5日
不登校の子どもをもつ親御さんへ
不登校の子どもをもつ親御さんへ
カウンセラーの高橋リエさんのお話からです。
参考になれば幸いです。

<親は頑張っているのに…>
「引きこもり」が話題になって久しいですが、一体どういう現象なのでしょう?
私の経験では、お子さんが引きこもりで悩んでいる親御さんは、みなさん真面目で、頑張ってこられた方々。
ご主人もちゃんと働いて、経済的にはそこそこ恵まれたご家庭であることが多いです。

親御さんたちは、真面目に頑張ってきたからこそ、いまの生活があると思っています。
だから、なぜ我が子が、同じように頑張らないのか、理解できません。

このままでは将来が心配だと、焦って何かをさせようとして、事態を悪化させがちです。
しかし、親が子どもに「〜させたい」と考えている限り、何も変わりません。
そうすると引きこもりは長期化しやすいのです。

<親の「ねばならない!」が強いと子どもは動けなくなる…>
引きこもりとは、ある日突然、起こるわけではありません。
幼い頃からじわじわと「生きるエネルギー」が低下していき、
もうこれ以上のストレスに耐えられなくなると、自身を守るために、家に引きこもるのです。

この「生きるエネルギー」を低下させる最大の要因が、
親の「ねばならないッ!」という強い思い込み、強迫観念なのですね。

真面目に一生懸命生きてきた親御さんほど
「頑張らなければいけない」
「我慢しなければいけない」
「人に迷惑をかけてはいけない」
「人より優れていなければいけない」
「競争に勝たなければいけない」
といった強迫観念に囚われています。
「そうできなかったら、生きていけない」と無意識に思い込んでいるのです。

そして“子どもにもよかれ”と思って、それを押しつけます。

そんな親に育てられると、子どもは、つねに追い立てられ、評価され、干渉されて育つため、
次第に神経が疲弊していきます。

また不安に駆り立てられている親は、子どもの気持ちに思いをはせる余裕がないため、
子どもはどんなに辛くても、我慢するしかありません。

さらに子どもがやりたいことより、親がやらせたいことをさせるので
子どもにとっては「喜び」や「楽しさ」がありません。

その結果、子どもの「生きるエネルギー」がどんどん下がっていってしまいます。

親の強迫観念、そして喜び不足が、「引きこもり」という現象を引き起こしているのです。

<引きこもる子どもの方が、親に幸せになって欲しいと願っている>
親の期待に応えるべく、頑張ってきた子も、エネルギーが尽きると、動けなくなります。

その原因を作ったのは親ですので、親が変わらない限り、子供も変わりません。
つまり引きこもりとは子どもではなく、親自身の問題なのです。

それでは、一体どう変わればいいのでしょう?

子どもの生きるエネルギーを回復させるには、
親の価値観を根底から変える必要があります。

「ねばならない!」で頑張ってきたおかげで、衣食住は満たされても、それで本当に幸せでしょうか。
なんでも義務感と強迫観念からやっていて「喜び」や「楽しさ」がないのではないでしょうか。

本当の幸せとは、喜びを感じ、互いに思いやりを持ってこそ、実感できるのではないでしょうか。

引きこもる子どもたちは、親に本当の意味で、幸せになって欲しいと、無意識に願っています。
だから、親がそれに気づくまで、頑固に引きこもり続けます。
人生を懸けてまで、親の生き方や価値観に、抗議しているのです。
もっと楽しそうに生きなさいと。

親の価値観は、貧しかった戦後を生き抜くには有効でしたが、すでに時代は変わっています。
今はもう頑張らなくても、我慢しなくても、他人に勝たなくても生きていけるのです。

引きこもる子は、暗にそれを親に訴えているのですね。

<親の価値観が変わったとき、はじめて子どもが変わる>
引きこもりとは、衣食住が最優先だった戦後の価値観から、
衣食住が足りて喜びや生きがいを求めるようになった時代に、
核家族という、逃げ場のない生育環境が引き金となって生じた
「日本独特の現象」と高橋さんはいいます。

誰も悪くないのですが、もし、引きこもっている子を元気にしたいのであれば
親が価値観を変え、「喜び」や思いやりを優先する必要があるのです。

そのとき初めて子どもが変わるのです。

参考文献:高橋リエ「親の気持ち、子の気持ち」(私のまいにち. 2018年3月号)