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2016年1月5日
薬から食事への転換
薬から食事への転換
医学雑誌「医と食」第7巻5号(oct,2015)に、これから進むべき医学の方向性への提言が載っており、素晴らしい文章と思いましたので、掲載しておきますね。
お読み頂けましたら幸いです。

暮れに始まる診療報酬の改定は医療費が40兆円を超えたことからマイナス改定になりそうである。
厚生労働省の診療報酬を担当する武田俊彦審議官(医療保険担当) 「モノから技術へ」「薬から食事へ」の転換を主張している。「モノ」とは薬、医療機器であり、「技術」とは医師や薬剤師の技術を指す。中医協の資料によると、75歳以上の3分の1の患者が10剤以上投薬されているという現実がある。多剤投与が高齢者の生活の質を下げていることが指摘されている。患者の薬を減らすことで認知症のような症状が治まり、食欲が出て健康状態が良くなったということは多数報告されている。

厚労省は疾病予防対策として「メタボリックシンドローム対策」に力を入れてきたが、特定保健保健指導の対象は74歳までで終わる。100歳老人が6万人を越えたという状況下で、75歳から100歳までの健康づくりの指針のようなものはない。日本老年医学会は「フレイル」の対策を打ち出しているが、これは寝たきり老人につながりやすい「ロコモーターシンドローム」の予防にも共通することが多い。

フレイルとは加齢とともに筋肉や認知機能など心身の活力が低下し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの危険性が高くなった状態のことであるが、いままでの個別の症状に対応して多種類の薬剤を出したりするのではなく、患者に全人的に対応して健康長寿を目指してもらう、という発想が必要であろう。しかし、低栄養状態がフレイルを経て疾病や要介護につながるから、栄養剤を補給するという方法では解決できない。

私たちが提言してきたように「食・こころ・体」を一体化して「悟性の生活」をめざす、という全人的なアプローチが必要で、そこにはキュアのみを追求するのではなく、患者に寄り添うケアを重視せねばならない。

生涯を通じて「無病息災」は理想であるが、「一病息災」あるい「多病息災」という生き方をしている高齢者も多い。

大阪帝国大学病理学教室の片瀬淡教授は、「現代医学は、造病医学」と酷評し、そのような邪道に導いた要因として「いたずらに部分現象のみにとらわれ、小発見に幻惑し、生物生存の根本理念を忘却したところにある、個々の臓器組織の病気は、これを知悉すれども、その根幹たる人間を見失っている。人間を救済する心理に則した『大乗医学』が近い将来に台頭することを信じる」と昭和22年に述べている。

その後の医学の進歩は多くのことを解明したが、人間の自然治癒力を尊重する点では不十分である。今回、厚労省によって提案される「薬から食事へ」は、まさに医療のパラダイムチェンジの分岐点になろう。(渡邊 昌)

薬に依存した「他力の医学」から、
食による「セルフケア」をサポートする医学へ、
時代は刻々と変わりつつあるようです。

当院でも、日々勉強して、遅れないようについて行きたいと思います。
皆さま、何卒よろしくお願いいたします。