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2015年12月14日
第8回マクロビオティック医学シンポジウム・マクロビオティック(勝又靖彦会長)と新栄養学に参加してきました。
第8回マクロビオティック医学シンポジウム マクロビオティックと新栄養学に参加してきました。
H27.11.29(Sun) 渋谷・シダックス カルチャーホール

日本の栄養学をリードする女子栄養大学の香川靖雄 副学長と生命科学振興会 渡邊昌 理事長に、健康で長生きするための食事についてお話を伺ってきました。

すべてに栄養学的な科学的データを引用し、世界的に見ても、『和食・Washoku』がいかに優れた食事であるかをたっぷり90分間・立ちっ放しで存分に語っていただきました!(80歳を優に越えてるのにすっ…スゴいパワーだなぁ)。

また新しい栄養学の評価の指標として、

一次予防栄養学:現在の疾病の早期発見と薬物療法の2次予防による延命から、和食による1次予防で健康寿命アップへ貢献。

和食(Washoku)は世界無形遺産(ユネスコ12月登録)に。ご飯と同時に味噌汁を出すのは、米のリジンを速やかに同時に補充するため、理に適う。宗派別平均死亡年齢(700〜1911年)を見ると、戒律の厳しい禅宗が最も長寿で、肉食妻帯飲酒の無戒の宗派が最も短命。江戸時代の大名の寿命は48.3歳に対し、僧侶の平均年齢は68.6歳と高し(森一工藤:民族衛生1988/Appdix134-5)。

都道府県別健康寿命ランキング(2010年):静岡県が男性2位、女性1位。そして静岡県の食消費1位は、米、緑茶、マグロ、ミカンなど日本の伝統食がズラリと並ぶ。

遺伝子栄養学:モンゴロイド(日本人)は、コーカソイド(欧米人)の3倍以上糖尿病に罹患しやすい。インスリン分泌量が白人の約半分で、白人ほど太れない反面、糖尿病にかかりやすい。有色人種は葉酸が不足しがちで補給が必要。がん・肥満・血栓・慢性炎症・アレルギー抑制、脳機能のアップなどDHAの多面的効果が遺伝子アレイで解明された(車・香川/J.Nutrition 131,2636-42,2001)。遺伝子学的に脳の機能に重要なDHAを合成し難い遺伝子を持つ人がおり、魚(海苔)から摂取した方が効率がいい(純穀菜食より魚菜食が優れる根拠)。西島川端香川:47th. Asia Paciffic AcademicConsortium for Public Health 2015.

純菜食よりも魚菜食がメタボリックシンドローム予防に優れている(Shang P et al.:Asia Pac J Clin Nutr 20(3):404-10.2011)。

太古の狩猟時代に肉食であっても、現代人では遺伝子が変わり穀類が最適と判明(米田穣/骨が語る食生活)。

日本人の栄養関連遺伝子多型の特徴:飢餓耐性(軽い肥満でも脳梗塞や糖尿病)、食塩感受性(易高血圧)、アルコール感受性(アルコールで赤面する人は食道癌のリスク)、乳糖不耐性(牛乳苦手)、消極的協同的性格、運動能力(持久性に優れ、瞬発力は劣る)。

時間栄養学:典型的和食(懐石料理)は、始めは、お野菜が多く、ご飯・果物は最後に提供する。糖質の吸収がゆるやか。

同じ食事内容でも朝食と夕食では4倍も熱産生が異なる。朝食は心身活動へ消費され、夜食は脂肪となって蓄積(関野由香/日本栄養・食料学会誌63:101-6.2010)。

パン食(粉食)より米食(粒食)を:全国パン消費量は、意外にも古都・京都が1位、滋賀・埼玉も多い。McDoも京都、滋賀・沖縄・東京も多い。ご飯の方が、粒食のため、粉食のパンより血糖の上昇が穏やか。血糖の急上昇を抑えるためにカテキン入りのパンが開発中。米食の方が、白パンより血糖値が長く持続するため、知能IQも高い(Taki Y et al.PLos ONE 2010;5(12)e15213)。

精神栄養学:宗教者の瞑想祈祷により、心の平穏時のテロメア維持諸酵素の発現が認められた(Bashin MK et al.:Relaxation Response によるtranscriptome の変化;PLoS ONE 8(5):e62817.2013)。





主観的健康感の大切さ 〜あなたは健康ですか〜

香川:面白いことがあります。「あなたは健康ですか?」と訊くと、大部分の欧米人の9割が「元気です」と答えるのですが、日本人で元気と答える人は3割しかいないのです。だから病院に行く人が多い。病院に頼り過ぎて、自分で治そうとしないのです。世論調査によると、病気を自分のせいにはしないそうですよ。自分の生活が間違っていたから病気になったとは思わないのです。
 この頃は「主観的健康感」が医学常識になってきたのですが、それは自分が健康であるかどうかということです。自分が元気と思う人とそうでない人が、後でどのくらい長生きするか、健康であるか。コレステロール値や代謝、血糖値は人間の体のごく一部だけしか見ていないですよね。この主観的健康感は、どんな臨床検査値よりも寿命を予測できるのです。それは驚くべきことです。
 WHO(世界保健機関)でも、この主観的健康感(SubjectiveHealth)を重視するようになってきたのです。
 これはテロメア(染色体の先端にある保護構造。細胞分裂によるDNA複製が行われる度に短縮し、年齢を重ねるほど短くなり、長いと長寿になる)を計ると分かるのです。
 テロメアの長さと主観的健康感が非常に比例するのです。高齢者だったら老化現象があって、体のあちこちに故障があっても「だいたい私は元気だよ」という人は長生きするのです。これは面白いです。主観的健康感が高い人と低い人では寿命が全然違うのです。6〜9年ほど追跡をするのです。


以上、個人個人に即した、まさしくオーダーメイドの栄養学へと発展していく展望をあつ〜くお話いただきました。

”薬物療法からの脱却し食とセルフケアの時代へ”

新しい時代の潮流を感じるひとときでした。

当院でも、安易なお薬の処方を減らし、食とセルフケアのサポートに力を入れて参ります。

いつも沢山の方にご来院頂きまして、大感謝申し上げます。